のふのふ

セールスマンののふのふのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
4.3
〝ならどうすればいい...〟

観終わって一言、「うわぁ....」
どうすればよかったんだよ...
人生初のアスガーファルハディ監督作。
とにかく徒労感がすごい作品でした。



小さな劇団に所属し、作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演している役者の夫婦。ある日、引っ越したばかりの自宅で夫が不在中に、妻が何者かに襲われる。事件が表ざたになることを嫌がり、警察へ通報しようとしない妻に業を煮やした夫は、独自に犯人を探し始めるが……。







〝あなただと思ってドアを開けたの〟
夫と勘違いして玄関のドアを開けた奥さん。
静かに開くドアのショットが不気味すぎです...



その後の展開は重い...


良くしようとしてるつもりなのに
裏目に出て全部悪い方向へ向かっていく。
出演する舞台もうまくいかなければ
現実も思うようにうまくいかない。
対比がおもしろかったですね!
〝俺はしがないセールスマンだ。何の価値もない〟
劇中の劇の内容に詳しければもっと楽しめたのかな?


全体的な閉塞感や
キャストの皆さんの〝何か本音を言ってない〟感じ...居心地悪い...笑


特に夫婦のすれ違いは本当に観ててキツかったですね!
〝ならどうすればいい...〟がグサグサくる|ω・`)
もうあの食事シーンの気まずさは忘れられないです...笑






そして、問い掛けに対して
〝何でもない〟
〝別に〟
〝誰でもいい〟
のような台詞が多かった印象。
なんでしょう...、人々の無関心さや不寛容な感じ?
主役夫婦や出てくる友人、隣人も皆無神経というか何処と無く他人との距離感を感じてしまいました

〝あんたは何もわかってない。何様のつもりだ〟の叫びも印象的でしたね!

そんな要素からくる全体的な宙吊り感というか空白感が気持ち悪かったです。




あと、個人的にイランの文化背景は色々わからないとこがありました!
妻が頑なに警察に行かないのは
不名誉だから??
ここら辺のイランの女性観。

冒頭の家が倒壊する程の強引な工事や
相乗りタクシーなど、
他にも馴染みのない部分が多かったですかね〜



以上、「セールスマン」!
観終わった後の余韻が凄まじい映画です。冒頭の、いつ倒れるかもわからない建物から逃げ出す人々。
同じく非常に脆い、絶妙な人間関係のバランスで成り立っている人生。
ひとつバランスを崩せば全部崩れ去っていく....
人生って難しい|ω・`)

オススメです!
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