るる

セールスマンのるるのネタバレレビュー・内容・結末

セールスマン(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

かなり胸糞な映画なんじゃないかと見るのに覚悟が必要だった、フィクションだろうとレイプを扱う作品はしんどい、

中東で演じられる『セールスマンの死』、興味深い、裸の娼婦はコートを着て肌を見せない、ローカライズされてるけど、演出に工夫はないし、台詞の脚色はしてないんだな…西洋戯曲を我々が演じるとこうなる、という演出なんだろうか、それとも、ゆるめの社会人劇団、女優の演出ができない、女について真剣に考えることを避けている、戯曲には裸とあるけれど裸になれないならどうするか、男女で話し合いができない、劇団、社会か。なんにせよ、映画として良い効果。

タクシーで隣り合うことを嫌がっていた「失礼な女」について、生徒に説明、「あの人は昔男性にいやなことを、男性はみんな下劣だと、大したことじゃない」大したことだっての、ありふれたことにするなっての、被害に遭ってトラウマ抱えた女をおかしなひと扱いするなっての!

妻に寄り添うことをしない夫、ダメだな…怪我が軽くて良かった、目が見えなくなったりしたら僕はどうする? 知らんがなだし、良かったことはなにもない…

全編通じて、いかがわしい商売をしていた女、娼婦なら襲われても仕方がない、というマインドを感じてダメだった。娼婦だろうが愛人だろうがレイプされていいわけがないだろ。

犯人と夫の会話、なんだかな。

家庭のある犯人、尊敬されている、愛されている初老の男が犯人、あるあるすぎる。

日本でもわずかな痴漢冤罪より日常的に起きている痴漢被害の映画つくればいいのに。アカデミー賞とれるよ(皮肉)

あの夜いくら置いた?と尋ねて、金を渡し、一発殴る、女に値段をつけて売り買いする男たち、なんだかな。

薬。妻が夫を見、夫が目を伏せる、勝手に責められた気になったり罪悪感を感じてるのは夫側、そこにある、やましさ。

フェードアウトしていく妻の意思、声、ポスターやパッケージの前面に彼女を持ってきたのはいいけど、被害に遭った女の顔を見たがる連中の欲を満たすようなポスターだとも思う、この社会を、まったく信頼していない。

イラン映画への物珍しさはあったけど、あまりにも日本の状況と近しいと感じて、キツかった。
るる

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