とらキチ

オリ・マキの人生で最も幸せな日のとらキチのレビュー・感想・評価

3.7
「コンパートメントNo.6」のユホ・クオスマネン監督の前作。第69回カンヌ国際映画祭の“ある視点賞”受賞作。
1960年代のフィンランドで、大切な試合に臨もうとするボクサーが恋に落ちてしまう。
とりあえず、オリ・マキ自身と彼の周囲の人たちとの世界タイトル戦に賭ける意気込みの温度差が笑えてしまう。
「コンパートメントNo.6」を鑑賞した時も思ったけどユホ・クオスマネン監督作は、手持ちカメラによるカメラワークやカット割、編集等かなり独特。両作品とも、一見とてもドライな視点のように見えるけど、その実とてもピュアでプラトニックなラブストーリーでもあった。
パッと見「ロッキー」シリーズとは真逆の方向にいっているように見える作品。でもロッキー・バルボアとオリ・マキの手に入れた“幸せ”の度数そのものを想えば、むしろオリ・マキの方が幸せだったのではないのかな…とも思えてしまう。そりゃあ「ロッキー」での「エイドリアーン!」はメチャクチャドラマチックで泣けるけど、今作のラストシーンも甲乙つけ難いと思う。
とらキチ

とらキチ