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オリ・マキの人生で最も幸せな日のRaRaRaのレビュー・感想・評価

5.0
ベストオブベスト。一生愛せる映画だった。

世界王者決定戦に負けた後、恋人とデートするってプロットだけでも傑作確定だが、自分のひどい精神状態のせいもあって、やたら感動してしまった。

とにかく、試合回りの煩わしい写真撮影や会食、体重測定の描写がいい。リアリズムってのは退屈で煩わしいものなんだけど、それこそが俺が映画で見たいものだ。
会食での偉い人たちとの表面的な会話の後に、主人公が見るアレ。つまらん現実から最も美しいものへの一瞬の飛躍。こういう瞬間のために映画を見て撮り続けなくてはいけない。

記者会見で彼女と目が合う場面が一番好き。あの切り返しショットを見たら観客は試合なんかより彼女の方を取るべきだと無理矢理にでも納得させられてしまう。映画の魔法。試合の対戦相手との切り返しショットがないあたりも信用できる。このシーンの後、主人公は自分が恋に落ちてることを自覚する。「恋に落ちる瞬間を撮れるのはフィクションだけ」by三宅唱。「ケイコ、目を澄ませ」とボクシング映画二本立てでお願いします。

ラストの老夫婦とのすれ違い‥からの水切り‥。本当に素晴らしい。
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