カルビ

マリアンヌのカルビのレビュー・感想・評価

マリアンヌ(2016年製作の映画)
5.0
※ネタバレ

秘密を抱えて生きる苦しみに、思いを馳せる。

マリアンヌは、二重スパイであるという秘密を抱えている。マックスは軍人であり、彼女がマックスに対して秘密を打ち明けたら、彼をも巻き込んで、危険に晒してしまうと感じていた。なぜならマリアンヌは、マックスの彼女に対する愛を信じていたし、彼が自分を連れて逃げようとするだろうと信じていた。また同時に、イギリス・ドイツという国家権力からは逃れられないということも、重々に理解していた。終盤、追い詰められた時の最終的な彼女の選択は、マックス、そして彼との娘であるアナへの深い愛情ゆえのものであったのだろう。

本作からは、秘密を抱えて生きることの苦しみを、ひどく痛感させられた。愛する人に対しても、その秘密を打ち明けることができないという苦しみ。加えて、愛しているからこそ、打ち明けることによって多くを失うことになるという苦しみ。そのような葛藤を繊細に演じ切った、マリオン・コティヤールの演技も見事であった。
カルビ

カルビ