ゆっくりと物語は進んでいく、その速度が、愛の物語をより美しいものにする。
ブラピのフランス語が耳に心地良い。
愛はどこにあるのか、
ふとそんなことを思わされる。
騙し騙され合うのは、男女の仲だけじゃない、そこに戦争という特殊な状況が入り込めば、もっと色んな思惑が絡み混んで、優先すべきは組織の論理か信じるべきイデオロギーか、国家か、そして結局私は、何を守りたいのだ、
人々のそんな葛藤が聞こえてくる。
抱いてしまう感情に偽りはない。
本来ならその小さな単位の家庭を守るのがヒーローの役目、けれど戦争という状況は、それを許さない。
本来ならその小さな命を守り育てるのがヒロインの役目、けれど戦争という状況は、それを許さない。
流されるだけなのか、
抗うことはできないのか。
そんな小さな単位の物語がいくつあったろう、
そしてきっと今も。
どこかで。
なぜかふと、問題解決の方向性は二つあって、
何かコトが起きた時、それが「2度と起きないためにどうすれば良いのか」と考えるに
「何が悪かったのか」と原因を追求していく考え方と、
「これからどうすれば良いのか」という未来に目を向けていく考え方の二つがあるということを、思い出した。
前者が女性に多くて後者が男性に多い考え方だとか、何とか。
ヒーローが守りたかったものは、家族の今もこれからも続く幸せであり、そして、戦争を終わらせること。
でも、 ヒロインはもっと大きな矛盾や葛藤の中を生きていて、彼女は遠い未来よりも、小さな毎日の幸せに生きようとした。そのかなしみの深さ。
私には、どちらが正しいとも間違っているとも言えない。
他に道はなかったのだろうか、エンディングに向かっていく中で私も問いかけてみる、でも、他の方法は思いつかない。確かに、それも一つの解決策だった。
納得はしてない、けれど
ヒロインのそのかなしみをそっと受け止めたいと思った。