垂直落下式サミング

彼女と彼女の猫 -Everything Flows-の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
新海誠の初監督作品『彼女と彼女の猫』を原作にテレビアニメ化した全4話の総集編に、新規カットを加えて映画化。卒業を控えて就職活動に追われる女子学生と、その飼い猫の暮らしを、猫の視点から繊細な感情表現を交えながら描いた作品。
くたびれ就活生。お母さんが心配して、一度実家に帰って来なさいってのが突き刺さる。けれど、お母さんもシングルマザーで、再婚相手がいて…っていう設定で、企業案件の『だれかのまなざし』では描けなかった市井の人々の生々しい暮らしを描いている。
女の人にも、こういうニートな時期あるんだって、知れてよかった。短大生かあ。就活かあ。二十歳そこらの頃なにやってたんだっけ?ろくでもなかったことだけは確か。
僕のまわりは留年なんか当たり前で、就職しないヤツもザラだった。そんな奴らとつるんでてたら、当然就活なんかうまくいくワケなくて、見かねた先生がマジメに学校には来てるからってクチきいてくれた職場を半年で辞めたもんだから、さあたいへん。ここで、人生のレールを盛大に踏み外すことになる。
研究室に後ろ足で砂ぶっかけたせいで、既卒キャリアサポート受けらんなくなって、仕方なく(自業自得)日雇いの底辺派遣みたいなところからリハビリ的に社会人リスタートさせたんすわ。
この頃は、辛いとか苦しいではなくて、一周回ってダメダメでかわいそうな自分に酔ってた時期。女に食わせてもらってた恥の多い人生。でも、ここで得た自分は誰かの所有物だとわきまえるマインドセットは、今に役立ってる。こちとら、面構えがちがーうのっ。