ある夏の一番暑い日、彼女と、彼女の飼い猫である“僕"の暮らしが始まった。
彼女は、通っている短大の卒業を控え、就職活動に追われる毎日を送っている。いつも頑張っている彼女にとって、“僕"と過ごす時間は、互いにひと時の安らぎを感じられる、とても大切なものだった。
しかし、家族のことや、友達のこと、将来のこと…いろいろなことがうまくいかず、彼女は次第に傷つき、立ち止まってしまいそうになる。
それでも彼女は、背筋を伸ばし、今日も扉を開けて外の世界へと踏み出していく。
そんな大好きな彼女のことを、“僕"はいつまでも見守っていたいと思っていた。
ルームシェアしていた友人がアパートを出てしまい独り暮らしをすることになった主人公の上手くいかない就職活動や実家の再婚間近の母との関係、少し残酷な世界を少しでも好きになろうとする孤独で不器用な主人公の心の隙間を埋めようと主人公を見守る猫との穏やかな関係、上手く前に進めなくて引きこもりがちになった主人公と母を取りもったり、それぞれの時間が交わらなくなっても形を変えてまた出会うことを願う猫の静かな献身が心に染みる傑作短編映画です。
