1960年のこの映画はマークトウェインの原作に近いのだろうか。『1851年のミシシッピー川での夏』が設定なので頭をその時代に置き換えてコメントを書きたいが？？　

マーク　トゥエインのこの作品を子供の頃に読んだ記憶があるが、筏を漕いでいることぐらいしか記憶にない。しかし、この話は深くて、今子供が読むには助言がいるなあ。
子供のハックが出てくるからミシシッピーを川下りをする冒険の話のように見える。難解なのは言語。使っている言葉が難しい、でも、慣れては来る。皮肉が込められているところがあるが、例えば、イギリスから来たおじさんという設定でこの家庭に入ってくるが、当時イギリスは近代国家のステレオタイプが蔓延しているから、無知で、チヤホヤこのおじさんを扱う。胡散臭いと感じているのは一番下の妹だけで、イギリスには奴隷制度はないとか、太平洋を渡ってきたというのはおかしいと。この妹はこの中で一番現実を見ているが『私のいうことを女だと思って聞かない。』と言ってる。その当時として考えるとあっぱれだね。

ハックは悪ガキの代表のようで、ああでもいればこうでもいうしわる知恵が働く。アル中で、被害妄想がこうじているDVの父親と一緒にいれば、こうもしなければ、生きちゃいけないね。

賢いのは奴隷のジム。ハックの良き友か父親のような役になる。ハックもジムに一目置いている。ジムはイリノイ州(free state)のカイロというところにいきたい。なぜなら、その町は奴隷が自由になれる町だから。そこへいけば、ジムは家族を自由にできるから。

この映画を今クラスで使うとしたら、１９世紀の米国南部、特にミシシッピデルタ付近の政治経済社会事情を学んで考えないと、差別であるが、全てが差別にと繋がってしまう。
ハックは家族をネイティブアメリカンに殺されたと言っているし、当時の事情を考えたら、嘘でもこういう言い方をする人はいるだろう。黒人は奴隷だった時代でジムがハックの父親が殺されていたのを見せたくないという優しい心があるから、ハックを怒鳴ったが、当時だったリンチになるかもしれない行為だった。でも、’ジムとハックの関係がこれを解消している。ジムが黒人であり、ハックの叔母さん（？）の奴隷だから、ハックが彼を隠しているということは、ハックも罪になる時代である。この時代、ここで育ったら？　この時代、ハックのような子供だったら？　人種差別なしに人は平等だという思想が持てるだろうか？

こういう当時の現実を小説や映画などで著した文献は貴重である。ストー夫人の『アンクルトムの小屋』もそうだが、そこから、差別の痛み、醜さなどを共感しあい、この話し合いが差別を減らすために役立つと思う。