まや

デジレのまやのネタバレレビュー・内容・結末

デジレ(1937年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

濱口竜介監督のトークショー付きだと知りあまり知らない監督だが観に行った。

使用人たちとその雇い主の女性を囲む日常を描く作品で、ギトリ演じる使用人デジレが雇い主の女性に恋に落ちてしまうという物語。

とてもセリフが多く、従って会話も多くて面白かった。また、動作や仕草がクスッと笑えるようなものが多くて良かったし、登場人たちに愛着が湧く感じがした。偶然の織りなす作られた物語。良かった。

トークショーがとても面白かった。
濱口監督の考えるサッシャ・ギトリと映画との関連性やデジレの話などやはり制作側の視点からまた映画について深く考えている人だからこその意見が多くてとても貴重なお話が聞けて良い体験になった。

サッシャ・ギトリは演技をやっていた人でそこから映画でさまざまな技法を使ってたくさん撮っていたようだが、この映画が作り物であるということを前提にしている。
リアリティよりも作られた物語という面を強く反映している。(最初にキャストやスタッフさんの紹介があるのが面白かった)

だからそこが賛否が分かれるところで、リアリティの欠如からご都合主義に寄ってしまう可能性を秘めている。だが、掛け合いの台詞によって私にはそこまでそこに違和感はなかった。

また、欲望の話をされていて欲望をひたすら描いている話で、倫理観と欲望の間に道徳が生まれると。その欲望と倫理観との塩梅がうまく面白く描いていると。

それからギトリのセリフは基本的に長いのだが、セリフを言う時に観客に息継ぎを感じ取らせないように話してる技術がすごいと言っていたが、それは確かに気づかなかったので面白い指摘だった。

演者さんに対してもきちんと向き合えているというお話もされていた。演者の経験が深くあるからこその役者さんがどうしたら1番よく映るかを寄り添いながら考えているカメラのカット割やカメラワークだったと。

ギトリ自身、父親が大俳優で自分に俳優などできないという父親へのコンプレックスありきで進んできた人物だからこそ撮る時の演者さんの気持ちを大事にし、また自身が培ってきたものがあるからこそ自信を持って映画を作れるのだと、すごい人だと思った。
まや

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