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デジレのlingmudayanのレビュー・感想・評価

デジレ(1937年製作の映画)
4.0
濱口竜介監督のトークショー付き。
デジレが彼を雇うのをためらっているジャクリーヌ・ドゥリュバックを説得するシーン、彼女の別荘での晩餐会、そして別荘で彼女の自分への想いを聞いたデジレが身を引く決意を伝えるシーンの3つが見せ場になると思う。このうち1、3番目はギトリ作品らしく彼の独壇場となっているが、2番目は食事をする人々と給仕をカメラが追いかけ、人々の状況が変化していく。どことなく濱口作品らしさのある素晴らしいシーンで、彼がゲストに呼ばれた理由が腑に落ちた。
トークショーで印象に残っている話は、ギトリ作品は台詞が中心なので「運動」を重視する批評家たちからは軽んじられてきたが、彼が全身を使って語るその仕草に着目しようという見方だった。今回の特集でギトリ作品を幾つか観たが、自分もモノローグ中心の作品(『とらんぷ譚』など)よりはギトリの話す様子が収められている作品(『夢を見ましょう』など)の方が面白いと感じた。
また道徳律は具体的な欲望に則して初めて意味があるとし、ギトリ作品で登場人物が具体的な欲望を持っている(そしてそれが偶然的な形で達成・解消される)点が作品をつくる上で参考になると話していたのも印象的だった。
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