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デジレのMypageのレビュー・感想・評価

デジレ(1937年製作の映画)
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雇用主との面談を終えたあとすぐに召使いと主人の関係性についての自論を展開するギトリおじさん。
相手に質問するよりも相手に質問させるほうがその相手のことをよく理解できる。召使いは主人のことをよく知っているが、召使いのことをよく知っている主人はいない。
召使いチーム3人は楽しそうでたのしかったが、やっぱり今回もギトリの口説き方がキモい。「あなたに興味がない」と言ってスカーフを拾い上げてふつうにびびらせてるのに、どうしたらそのまま雇われて夢にまで出てくるようになるのかがちゃんと説明されていなくて、ほとんどマインドコントロールか惚れ薬みたいなレベルの飛躍だと思うのだが、この女優が当時のギトリの妻であったこととギトリが実際にモテていたということがその飛躍を繋いでいるということか。
耳の遠い人との時間差会話というのがギトリ戯曲には何度も出てくる。それはただの会話をちょっと可笑しくするためだけの仕掛けにすぎないのだが、そういうとんち的な仕掛けを多用してくるのも演劇からの流用だろう。もちろん、映画ならではの瞬発力が発揮された視覚的な遊びもやっぱりたくさん出てくるのだが。
主人-召使いという制度、「あなたに興味がない」といった言葉の制度を逆手にとって優位に立つ。でもなんか告白エンドじゃなくてそういうプレイの虜になってしまったっていうギトリおじさんの嘆きとして映画が締めくくられているのがそっちなんだと思った。
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