まつだ

デジレのまつだのレビュー・感想・評価

デジレ(1937年製作の映画)
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中だるみもなく、晩年のように饒舌になりすぎず(あれはあれで大変好きですが)、よいバランスだし、見事な作品だった。

今回は衣装にも力が入っていたように思う。女主人と給仕の白と黒のコントラストも美しかった。ジャックリーヌ・ドリュバック(ご夫婦だったんですね!)の叫び声が聞けるのも面白い。
スカーフが小道具として使われていたが、首元に巻いたはずのスカーフが途中で消えてて、繋がなってない気がした。夢をみていた日数が合ってなくて何故?と思ったけどちゃんと意味があったが、凝りすぎな気もする。
加減乗除が好きなギトリ。
あと、100万でエジプトがここにも。幸運を!でも登場していた話。ワイングラスのぶつかる音にこだわり感じて笑えた。

他の作品にもみられるが、
偶然性を取り込んで、「結婚」というキーワードと時間的な期限(明朝去ることを明言)を切ることで圧力鍋のように急速に空間の密度が増す。また今回はそれぞれのシーンの粒が揃って同じ方向を向いているような印象をもった。

今回が3回目だという、欲されるものという名の給仕の欲望は、今回に限ってはなぜか成就しない。