このレビューはネタバレを含みます
大好きな作品。
地に足ついた(現実性の高そうな)映像の中で、突然現れる妻の幽霊とサルの精霊に転化した息子…。
ブンミ、彼が年老いた老人ではなく「おじさん」であることでの、死のドラマ性がある。
充分に家で寝てきたはずなのに、やけに眠気を誘われる作用がある(退屈なわけではない!)自然豊かな映画だけれども、
そこに電動ハエたたきが現れて、虫を大量殺りくしまくったり、ああー現代だ!とびっくりする作用がうれしい。
ジェンおばさんが過大にアミニズムに寄り添っていくとかいうこともなく、サバサバしたリアルなおばさん描写もいい。
長い道のりを経て、はちみつをなめる幸福。
長い道のりを経て、母胎を経て死を迎える、
みんな特に言葉もなくのそのそのついてきて、傍にいてくれる空気。
サルの息子も見守っている。。。
テレビのニュースをぬけがらみたいに傍観する3人。
そこから抜け出して、電飾のきらびやかな音楽バー?に繰り出す2人。
死や生の恐怖を誤魔化し生きるなら、やっぱテレビより音楽だなと思いました。
そこでかかっている曲がまた素敵で、思わずなみだ…。
内容としてはこちらに解釈を委ねすぎない、でもとてつもなく広く果てしない空間にひとり投げ込まれたような世界体験。さみしいけれどあたたかい。丁寧な作品作りに脱帽しました。