友二朗

LOGAN ローガンの友二朗のレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
4.3
「これが人生というものだ」

さらばウルヴァリン。
贖罪の果てに飾る有終の美。

まず何よりもR15で戦闘が残酷になり、ダークな雰囲気に全身全霊で浸ることができる。"こんなローガンを見たかった"という願いが叶った瞬間。これは単により濃い刺激を受けるだけでなく、彼の背負って来た運命と罪の重さを現実味に沿って「共に」感じられる素晴らしい演出。ヒュージャックマンの17年間、ローガンに至っては約2世紀に渡る壮大でどこまでも深い1つの人生、その最期に立ち会えて光栄だった。

自分はグロいのが苦手でほとんど避けて来たからこの作品が【バイオレンス/グロい】に当たるのかは分からないが全然苦じゃなかった。目を背けたくなかったし観終わった後、自分の中に覚悟のようなものが芽生えているのが分かった。

この物語の深さやテーマだけでヒーロー映画の枠を抜けたような、いや広げたような気がするが西武劇を思わせるテイストが上手くハマっていてジャンルの持つ無限性に感動した。もうすぐ公開のストレンジ2はホラーテイストになるらしいし、これからのヒーロー映画の多様性に期待したい。確実に歴史に残る実績ある一本。

不死身が故に心はもうボロボロのローガン。
今まであまりに多くの別れを経験し痛みを受けすぎた。その苦しさが痛いほどに伝わって来たし、アダマンチウムの銃弾で楽になりたいと考えるローガンに共感してしまった。とにかく哀しい。

チャールズ、ローガン、ローラ。
全員が孤独を背負い生涯をかけて居場所を探し、また作ってきた凸凹な3人、その個性豊かなロードトリップにはこれ以上何も付け足す事はできず、引く事もできない完全性がある。

ダフネ・キーン
この子何者?本当に凄すぎる。
表情から雄叫び、何よりアクションに空いた口が塞がらなかった。類稀なるカリスマ性が凄い。出演作が「ローガン」のみに関わらずFilmarksのファンが400人もいる事実が物語っている。2代目ウルヴァリンとして続編を観たいところだが、他作品への出演も熱望。

側転しながら切りまくって車に飛び乗って銃弾吸い出して落っこちる。なんですか?人間ちゃうやん。

ウルヴァリンの理論でいったらローラはこれからしばらくずーっと子供の姿で、少しずつ大きくなって長い長い人生になるんかな。幸せになって欲しい。

ローラのブーツ可愛い〜。
この3Hチェリーレッドのマーチン欲しいんよね。でも自分似合わんよな。

R15やから言葉遣いがそれはそれは悪くて気持ち良かった。普通にチャールズも口悪くて好印象。

ほんまに体調悪そう、というか今にも死にそうなローガン/ヒュー・ジャックマン。メイクスタッフ、美衣装班の仕事も素晴らしいが演技が正に集大成そのものだった。引退は悲しいが納得せざるを得ない。素晴らしい花道が完成された事にこちらも嬉しくなる。

敵が迫って来ている状況でチャールズの車椅子をちゃんとトランクにしまうシーン可愛い。抱える葛藤や孤独こそ一般とはかけ離れているものの、その向き合い方には誰よりも人間味があった。

特に森で息切れるシーンの演技。あれもはやほんまやん。ただの事故映像と感じるほどにリアルで苦しかった。

終盤の全開になったローガンに涙が流れた。どれだけボロボロになっても立ち上がって闘う彼の背中に全世界が魅了されただろう。

ダフネにリアルで殴られるシーン凄いし笑った。その後のダフネの表情凄い。

作中にXメンのコミックを登場させて、まさかキーにするとは感慨深い。エデンにいた雷の男の子、ラストウルヴァリンの人形を抱えているがこの構図、うまく言葉にできんけど凄い意味ある。

エセックス社のスーパーソルジャー製造計画って、X10はウルヴァリンでX1がキャプテンアメリカなのね。

完全に同一の見た目で成功したX24に比べ遺伝子細胞の損傷から少女の姿になったX23、ローラ・キニー。すっごい差あるな。余裕でローラの方が優れとると思うけど。

リュージさんが看護師の人が残したスマホ、あれが命を狙われているのにガッツリ見やすい動画編集がなされててそこだけ冷めたと言っていたが、確かに。

列車で振り切るカーアクション凄い。
「ひっ」って声出た。

いっつも思うけど爪でメタメタに切りつけた後、血付いたまま手の甲に収納するけどバイキンやばそう。

アルツハイマーになったチャールズを見るのは本当にしんどかったし悲しかった。

この作品自体は大好きだが、やはりシリーズを考えると少しぶっ飛ばしすぎに思う。シンプルにショックでかい。

虎が絶滅してるんや2029。
貨物者に運転手がいない2029。

リムジンの運転手って結構おもろい職に就いたなローガン。

脚本のマイケル・グリーンはウエストチェスター事件の説明について、「フラッシュバックを具体的に描くよりも、描かない方がより辛いものになった」「真実は考え、私は知っているがファンの持論を持ち込んで欲しい。ファンに神聖化されるものにこそ、映画のエモーショナルな影響があるからだ」と語っている。ほーん。めちゃんこ納得したしその効果は大きかったけど、いや知りたいな〜。

自らウルヴァリンの引退を申し出たヒュー・ジャックマン。当時49歳、皮膚ガンとの闘病も辛かっただろうし、本当によく頑張ってくれた。ベルリン映画祭での上映で涙を流していたし、この役にどれほどの思い入れを持っているかは自分には想像すらできない。デップーとのクロスオーバーという条件下のみ再び爪を出すを考えているそう。めちゃ観たいぞそれ。パトリック・スチュアートも10kgの減量をしたそう。

ラストの十字架にはグッと来た。

本当に本当にお疲れ様でした。
ありがとうチャールズ。
ありがとうローガン。
ありがとうヒュー・ジャックマン。

やたら長い感想になってしまった。
読んで下さってありがとうございました。

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めっちゃ関係ないけど、前半のアメリカとメキシコの国境シーン、改めてトランプの壁作る公約ってやべーなと思った。

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「イエラパに行って太陽号を買い
 海の上で暮らすんだ」

「彼らを子供だと思うな
 特許品だと考えろ」
サイテー。

「私の子じゃないけど
 あの子を愛してる
 あなたは愛さないかも
 それでもあなたの子よ」

"谷から銃は消えた"
西武劇『シェーン』
このシーンのセリフはスチュアートのアドリブらしい。めちゃ素敵。

「何度も放り出されたがね」
「良い生徒だったとは言えないな」

「エデンの仲間のもとへ」

「ローガン
 これが人生というものだ
 愛し合う人々がいる家 安心できる場所
 君もゆっくり味わえ」

「太陽の船に乗って」

「傷つけられる夢を見た」
「俺違う 俺が傷つけた」
「私も人を傷つけた」
「背負って生きろ」

「俺が愛する人は皆不幸になる
「じゃ私は大丈夫ね

「正しくても人殺しの烙印は残る」

「そうか こうゆう感じなのか」
友二朗

友二朗