平田一

LOGAN ローガンの平田一のネタバレレビュー・内容・結末

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ローガン/ジェームズ·ハウレット
またの名を“ウルヴァリン”…


X-MENスピンオフ「ウルヴァリン」最終章は、ローガンことウルヴァリンと謎を抱えた少女ローラ、アルツハイマーを患ったチャールズの逃避行。

ミュータントが殆ど滅んで、完全に壊れた世界。隠れるように生活しているローガンとチャールズは、何者かに追われているローラという少女と出会い…。


映画館で初めて見てから、ずっと記憶に残り続け、モノクロ版も含めている豪華版を購入したい。その価値がある以外に見当たらない一品です。

怒りで我を忘れるぐらいにギャングを惨殺するローガン。謎の少女ローラの能力、残酷な逃避行。

これまでのX-MENと同じようだと思っていたら、確実にカウンターを喰らいますので要注意。

特に既に世界が知ってるウルヴァリンの鍵爪に、歓喜よりも恐怖を感じさせるところが秀逸です。ヒーロー映画の衣を纏って、カタルシスを演出していた過去要素を一蹴し、恐ろしさをフィーチャーさせる。冒頭のメキシコ人ギャングたちとのいざこざや、森林での敵勢力を次々虐殺する決戦。そこでもう怖くなったり、感情が揺れました。

勿論しつこく描かないよう、冷静に追っていく。それで一気にこれまでよりもローガンを知れました。

シンボルマークの鍵爪や力に忌避するその訳を…

しかも前半、銃は嫌いだと言っていたローガンが、敢えて銃を使った場面でよりハッキリしています。

ローガンがこれまでのルールを全部捨てている。
捨ててでも優先すべき命のために戦っている。

他の方も言っているので割愛はするんですが、ヒュー・ジャックマンの最後のローガン、間違いなくベストです(ちょっと『マッドマックス』のメル・ギブソンを思い出した)。あの最期の安らぎに満ちた表情が特にもう(最後のお墓のシーンなんか、大好きな『シン·レッド·ライン』(1998)を思い出すほどです)。

謎を秘めたヒロイン、ローラも大変魅力的で、でもスッゴく哀しいところも忘れさせないのがもうね…チャールズも最期に言ってたあの台詞もそうなんだけど、ホントこれまで見たことなかったチャールズになっています。

三人を追跡するピアースの憎たらしさ、中盤である決断を自ら下すキャリバンと、敵キャラも仲間たちもみんな魅力的でした(てかキャリバン、アポカリプスに出てたの、見るまで知らんかった)。

コミカルなパート(ローラがかけてるサングラスでT3を思い出したり、車椅子をすぐに巧みに扱う可愛いローラw)もあったり、暖かみも宿していたり(マンソン一家のやり取りなど)、ただ重いだけじゃなくて、箸休めもしっかりしてて、140分も近い時間が全然だれなかった。

何度見てもズシンと来るけど、しっかりと希望もあって、見応えがありすぎる。

また時間を作って映画を見られるときが楽しみです。

【ところで】
海外ドラマ「ユートピア」はここからヒントを得た?
平田一

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