唯

藍色夏恋の唯のレビュー・感想・評価

藍色夏恋(2002年製作の映画)
3.3
自転車に跨り、悪戯っぽくはにかむ汗ばんだシーハオの横顔に、一目で心を奪われる。
髪つんつん流行の時代が懐かしい。
ボクシングの村田諒太似。

前半は、親友の片想いの相手と恋に落ちる系。
クーロウは、親友ユエチェンに、シーハオには彼女がいるのか聞いてと頼まれるのだが、自分で行かずに人を頼るとこういうこと(シーハオとクーロウが仲良くなっちゃう)になる。
まあ、このケースは好きというか憧れの類が殆どだけど。
こういう自信のないやつは振り向いて貰えないのはセオリー(その時点でバランスが良くないということだもの)。
ストーカーして彼の持ち物を収集する程だから、付き合ってもイーブンになれない。

「俺はチャン・シーハオ。O型で蠍座。水泳部でギタークラブ。割とイケてるよ」と満更でもないシーハオに対し、頑ななクーロウ。
ちょっとシーハオと仲良くなると、親友から無視されるという、鳥肌ものの不快な意地汚さ。
だから、女は嫌いなのよ。
すぐ友情を捨てるんだもん。

「君が気になるんだ」「君と付き合いたい」
「私、面倒臭いタイプよ」「俺もだよ」
初デートでいっきなり可愛いクーロウ。
クーロウに無理して合わせて、でも平気を装ったり、緊張していない風に振舞ったり、のシーハオも可愛い。
女子の方がやはり早熟で一枚上手感は否めない。

親友の手前、彼と付き合っているとはしないし、好きだと認めないクーロウ。
誰にも媚びない頑固さが彼女の良いところだが、真意の見えないクーロウにシーハオはヤキモキしてしまう。

だが、実際はクーロウが好きなのは親友のユエチェン。
ユエチェンへの想いを断ち切るためにシーハオをユエチェンに紹介するも、あっさり振られるユエチェン。

「あなたとキスしても何も感じなかった」
「断られたらもう友達じゃいられなくなる」
クーロウが素直な想いと事実を打ち明け、それにも優しく耳を傾けるシーハオのイケメンっぷりったら。

シーハオの名前がいつの間にか木村拓哉に変わっている。
こうして大人になって行くのだな、うん。

ユエチェンにキスするクーロウだが、無視される始末。
振り向いて貰えない・付き合えないというより、自分という人間を理解して受け容れて貰えないことが辛いんだよなあ。

世間一般のルールから外れただけで自分を押し殺すことを強いられる切なさ。
だけど、彼女にはシーハオがいる。
彼こそ、生涯の友ではないだろうか。
「3年後か5年後か、男を好きになれたらまず俺に教えろよ」
自分のプライドとか傷付きとか、そんなことより友というか好きな人の気持ちを優先して丸ごと受け止めてくれて、いつでも寄り添ってくれる。
私にもシーハオをください。
唯