ekn

藍色夏恋のeknのネタバレレビュー・内容・結末

藍色夏恋(2002年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

大傑作。恋心は運動となって表出し、運動の共有は親密さを増す。心情の可視化の基本が徹底された恋愛映画。
モンがチャンの顔のお面をつけてユェチェンとダンスするシーンは、いたずらで糊づけされたラブレターをモンとチャンが剥がすシーン、ユェチェンが屋上でひとり、今まで書いたラブレターを燃やし、踏みつけて消火するシーンに変奏していくように、モン→ユェチェン→チャン→モンの三角関係が順に運動として表れる。観る側は好きな人との記憶が、好きな人の好きな人に塗り替えられるような感覚に陥る切ない展開が続く。
しかしその後、体育館のコートとギャラリーでチャンがモンを真似て左右に歩くシーンでは、ユェチェンを除いた“2人だけ”の運動が距離を縮める契機となり、終始お面のように表情が動かないモンに笑顔が増え始める。他の生徒が使っているボールが上下に動く中で左右に動く2人を高低差をつけて画面に収めてしまうのが上手い。臆病で行動できないユェチェンは次第に画面から消えていく。
2人の距離が縮まるキッカケも、秘密を言い合うのも、初めてのキスも、別れるのも、喧嘩をするのも舞台は体育館。
ekn

ekn