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藍色夏恋の346のレビュー・感想・評価

藍色夏恋(2002年製作の映画)
3.7
グイ・ルンメイの虜になる映画。

基本、中身はそんなに大きな展開はなく、ありがちな恋模様を複雑な三角関係で描く青春物といった感じ。

繊細な台詞まわしや、アジア圏の人たちなら共感できるであろう恋愛事情が詰まった作品だと思うんだけど、少し間延びしてるのかな。その間延びをリアルな間として観るかどうかで評価は分かれそう。個人的には恋愛以外のストーリーがなさすぎて、少しだけ飽きを感じてしまったかな。

シンプルでも、侯孝賢の恋恋風塵のようなこれぞ映画といえるような一瞬があれば良かったんだけど。

それでも、グイ・ルンメイの存在感、透明感に魅力されてしまって、彼女を観るだけでも十分価値があります。
でもなんかデジャブ。と思って考えてみたら、薄氷の殺人って映画に出たあの子なのか!

薄氷の殺人はそれはすごく惜しい作品で、邦題がクソのせいもあるんだけど、やってることは面白いのに、色んなことが噛み合ってなくて個人的にモゾモゾしちゃう映画だったんだけど、そこに出てくるファムファタール的な役柄の女優がすごく良くて、もう彼女の色香だけがこの映画の良心だったなと思ってたら、その女優がグイ・ルンメイで、その彼女のデビュー作がこの藍色夏恋だったとは!

薄氷の殺人での彼女は、チャイナタウンのフェイ・ダナウェイを彷彿とさせるような妖艶さで、無表情でもあり、冬という季節を象徴するような女性であったことに対して、この映画でのグイ・ルンメイは若者の特有の浮き沈みと不器用さがあり、表情豊かで、夏という季節を象徴する女性だったから、その振り幅が衝撃的で、薄氷の殺人を観なおしてみたくなりました。
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