Myke

ハクソー・リッジのMykeのネタバレレビュー・内容・結末

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画は実話で、沖縄が舞台だと知った。

これが過去、
現実にあったなんて受け入れられない。
お伽話なんじゃないのかと思ってしまう。

ただ戦闘シーンは、くどく感じ
終盤はよくある一種のサバイバルゲームのような
麻痺した感覚に陥ってしまった。
(女性の感覚だからだろうか?)

ある意味それが、
戦争の恐ろしさなのかな?
人を殺すことや、目の前で人が死ぬことに
慣れてしまった人間は、心が死んでしまう。

戦う前に、先発兵達がトラックに乗って
主人公・デスモンド達とすれ違うシーンでの
生き延びた兵士達の目は死んでいた。

生きながら、死んでいた。

元兵士であったデスモンドの父が、
「あの戦争で俺は死んだ」と
言っていたように

戦争は人の「心」を殺すんだと思った。


教官が「妻や女子供を守るために。」と
ふざけたことを言っていたが、

守るってなに?それが守ることなの?

自分の愛する人が人に踊らされ人を殺し、
それをもって死ぬことを
心から喜ぶ身内がどこにいたんだろう。

なぜ人はそれに気づかなかったのだろう。
なぜこんな過ちをおかしたのだろう。

デスモンドの父のように戦いが終わっても、
PSTDや後遺症で一生涯、人を苦しめる。

恐ろしく、苦しく、悲しく、むごく、
ただやるせなさに涙がとまらなかった。


デスモンドは生涯、「銃を持たない信念」
を貫く決意で生きていたが、
目の前で仲間が殺され、悪夢にうなされ、
自分の無力さとの葛藤に苦しんでいたと思う。

きっと、デスモンドは
戦争を無くすのが本当の願いだけど、
それを叶えるのには、絶望的で、

でもそんな現状に嘆かずに、
「いま自分ができることはなんだろう」と
考え抜いた。

「あと1人、あと1人」と神に願いながら
自分の危険も顧みずに負傷者を見つけ出し
地道に助けていく姿。日本兵でさえも助ける。

どんな苦境にあえいでも
自分の信念だけは絶対に曲げなかった。

それは、
神が与えてくれた自分の使命だと
信じて腹を決めて生きていた。

はじめは、そんなデスモンドに対して、
疎んだり、いじめたりしていた
同じ隊の皆や教官であったが
デスモンドの献身的な姿を見て
眼差しが変わっていった。

仲間として受け入れたというより
それぞれの人間の心にある“慈悲の心”を
デスモンドが呼び覚ましていたようにも感じた。


個人的に一番印象に残ったセリフは
「お父さんは自分自身が嫌いなのよ。」
と言うシーン。

戦争は
アメリカ兵が悪いとか、日本兵が悪いとか
誰が憎いとか、嫌いとかじゃない。

戦争の一番の原因は、自分自身の悪の“心”だ。


:

少し気になったシーンは

冒頭で、デスモンドが
手押し車の下敷きになった人を助け
病院に運ぶシーン。

せめて、その怪我した人の手術が成功し
ホッとした後に献血の天使・ドロシーに
心奪われて欲しかった。
なんか医者に褒められて嬉しくなって
友人そっちのけで
一目惚れした彼女に迫っていくデスモンド、
ちょっと軽いよーー。

あとは、日本兵の防空壕での緊張感のない
歩きや会話、態度が気になってしまった。
当時の日本兵の特攻隊にも見られる
大和魂はもっと全てに命をかけていたと思う。
(デスモンドが助けた日本兵の方の
お芝居はとても素晴らしかった。)

それと、、、最後の日本兵が土下座して
やられてるシーンとか
切腹するシーンとかなんのため?

デリケートな映画な分、
そういう部分が雑に思えてしまったのが残念。
Myke

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