正直なところ、複雑な気持ちになった。会ったこともない顔も知らない祖母の兄が沖縄戦でどう死んだのか、この映画を観て考えてしまったからだ。
汝、殺すなかれ
いくつもの戦争映画を観たが今作も然り、人間の愚かな歴史だと思う。顔も知らない生い立ちも年齢も何も知らない、ただ国が違う同じ若い人間同士が殺さなければ殺されると言う状況。狂っているとしか思えない。
アンドリュー・ガーフィールドが演じた実在の英雄デズモンド・ドス。彼の強靭な精神力と信念、そして慈悲深き心には感銘を受けました。いつ死ぬかもわからない地獄のような場所で武器を持たずに人を助けるなんて、普通に考えて出来るもんじゃない。
戦争で死んだ彼らの屍の上に生きる私達ですが、戦争を学ぶたび国を守るために必死だったとはいえ旧日本軍の狂気じみた玉砕精神が愚かであったことを悔しく思う。過去の日本に「何としてでも生きて帰る」という思想があれば、死なずに済んだ人間はもっともっといたはずだ。生きのびて「恥」などあってたまるか。
前半のドラマも後半の戦闘も丁寧かつ圧巻であっという間に終わってしまった。
戦闘シーンは本当にすごいのでメイキングが気になります。
メルギブソンは問題のある人物でもあるが、俳優としても監督としても才能は認めざるを得ない人物であることもしみじみ痛感いたしました。
