Ryoma

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのRyomaのレビュー・感想・評価

4.3
たとえ周りの誰ひとりとして応援してくれなくても自分が本当にやりたいことを貫くことの大切さを感じたし、容易ではないけれどそこに本当の意味があるんだなと感じた。
言葉で口に出して気持ちを伝えるのは難しいけれど文章としてなら思っていることを包み隠さず表現できるというサリンジャーの思いは解る気がした。自分もあまり物事を口に出してスパッと言えるタイプじゃないから…。また、結婚し慎ましい生活を夢見る周りとは少し違うのかもと自問し悩み苦しむ彼の姿に共感しかなかった。
戦争に翻弄され恋人に振り回され良いとはいえない家庭環境など…
若くして壮絶な経験をした彼が“書くこと“をやめなかったのは彼の執筆への愛の強さの証であるし、そういう彼の姿勢に胸が熱くなった。
困難が降りかかろうとも堕ちることなくどんな挫折や悲壮感をも作品に昇華してしまう彼の考え方はポジティブ思考というか非常に柔軟な考え方に思え、不条理で理不尽な事が常態的に起こりうる自分の今生きる社会でも見習うべき姿勢に感じた。
限りなくノンフィクションに近づけようと考える彼の作家性から彼の真摯さ•真面目さが窺え、サリンジャーという作家に好感が持てたし、出版して儲けるというよりむしろ“書くこと“が重きにある彼の生き方や考え方から、世の中お金だけではない、好きなことを追求し続けるという、人生における大切なことを教えてくれた。
様々な人との出逢いや経験を経て、周りの人を遠ざけようとしていく様は寂しさや切なさもありながら、人間味感じられるサリンジャーの生き方や決断にぐっときた。
サリンジャーの半生が綴られた自伝的作品の本作、サリンジャーを演じたニコラスホルトが本当に名演でサリンジャーの苦悩がひしひしと伝わってきた。『the menu』の時と全然違う😅
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