ヘロヘロ

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのヘロヘロのレビュー・感想・評価

3.9
Rebel in the Rye
ライ麦畑の反逆者
身体の中に煮えたぎる物語への情熱を宿しながら、同時代の生きにくさと静かに戦い続けたサリンジャーを丁寧に丁寧に描いた監督とそれを見事に演じきったニコラスホルトに敬意を。
”ライ麦畑“の主人公ホールデン同様に、他人との友好を築けないサリンジャーの苦悩をが描かれた本作を観ることで、未だ観たことがない“ライ麦畑”を観ているような気がしてくる。
静かで誠実な瞑想体験のような映画。
ニューハンプシャーの地で2010年まで存命だったサリンジャー。物語を紡ぐことは彼にとって生活の糧ではなく祈りだったという見立て。戦争、失恋、出版社との軋轢、家族、読者などあらゆる社会的な関係と折り合えないサリンジャーという人間の苦悩のほんの一端ではあるが、本作は描けていたのではないかと思う。

それにしても、ニコラスホルトの内省的な微妙な表情の演技には一瞬一瞬ワクワクさせられる。いい役者だ。

原作はケネススラウェンスキーの『サリンジャー 生涯91年の真実』。読んでみたい。

キャスト
脇を固める多才な役者たち

ジェリーのパパ役のヴィクターガーバー:
『エイリアス』の主人公の父親ジャック・ブリストウ役の人 表情の起伏が少ないのが逆にイイという役者さん

失意の恩師であり編集者役ケヴィンスペイシー:復活してほしい大好きな役者、反省して頑張れ。

ゾーイドイッチ:ウーナオニール役
リートンプソンとハワードドイッチの娘、というだけで推すべき俳優さん