ジョー

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのジョーのレビュー・感想・評価

5.0
ケビン・スペイシー出てると知らなかった。悪い意味で。この男の存在に関して知り得る犯罪行為がノイズになりがち。作品と俳優を切り離すことは容易じゃなかった。

「ライ麦畑でつかまえて」は世間も人も周囲のもの全てを嫌い、悪し様に罵る皮肉っぽい少年の内面に読むのをやめかけたが、最後にやっと垣間見る少年の至極繊細で儚い面に触れて一気に前半の気持ちが切り替わった読書体験だった。この映画のサリンジャーがまさにそんな人物だった。これは伝記の映画化?実際のサリンジャー自身とどれほど近いかは知らないが、彼の経験した戦争のトラウマを共感し理解できる人はいないのだろう。妻も恩師も親も彼の苦しみに寄り添えない。瞑想を指導した指導者と作家エージェントのサリンジャーへの距離感がとてもよくて、この2人との会話がサリンジャーの人格に最大限の敬意を感じられた。
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