サリンジャー作品に思い入れのある人ほど、この映画は、観てられないんじゃないかなぁ。と感じた。
彼の人生に、戦争が、色濃く影を落としていて
作家人生にもね。
ただ、戦争がなかったら
ホールデンの物語は、私たちが受け取ることもなかったのではないかしら。
彼が言う
「しっくり来る場所がない」
「書けば 思っていることがはっきりする」
その通りに、書くことはやめず
ただ出版することをやめた彼は
自身が告白するとおり
父や夫、友になる術を知らない
究極の不器用さ。
「現実よりフィクションに 真実味を感じる」
と言った若者、そのままだ。
狂騒は外。外側にいる私たちは、どんなに近づこうとしても、彼の書き表したモノ以外には、近づけない。
葛藤が、彼自身の中で続いたように
私たちも、彼自身を知りたいと思っても、どこか手が届かない。
それでも映画を作ろうとする心意気に拍手だ。