安堵霊タラコフスキー

ルート1 USAの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ルート1 USA(1989年製作の映画)
3.5
ワイズマンのジャクソンハイツを見て何かに似ていたなと思ったけど、おそらくこの作品のことだろう。

で、アメリカのルート1を辿るフィクションとノンフィクションの中間的なこの作品がジャクソンハイツとどう似ていたかというと、まず三時間超えの長尺ということは当然として街や自然を撮った風景描写が良いのに人物描写が今一つに感じられたという点も印象として似ている部分だった。

そして何故今一つに思えたかと考えてみると、やはり人物との距離感が心理的にも物理的にも近い場面がどちらも多かったのが理由と思われ、自分が風景と同化したような人間の撮り方か人物画みたく単なる被写体のように人間が撮られている映像が好きということに加え、風景描写が逆に距離を置いて撮られたものが多かったというもあり、好み的にも相対的にもそこじゃ良いものとは思えなかった。

映像と一緒に言葉を録音する必要があるからあまりカメラを離せなかったというのもあるんだろうけど、人物を制御できないが故にやはりドキュメンタリー的な側面のある作品でロメールや小津のように絵画的な人物描写は難しいのだろうか。