ひれんじゃく

終身犯のひれんじゃくのレビュー・感想・評価

終身犯(1962年製作の映画)
4.0
モノクロなのが却ってオシャレさを演出してるような画面がたくさんあってまず凄かった。無駄にカメラを動かさず、固定してじっくり人物を映すような感じとか。

実話だったことはさておき、鳥に自由を重ねる発想自体はよくあるものだけどそこからの発展のさせ方が個人的に好き。ショーシャンクとかこういうところからアイデアを得たのかな。無意味な労働に従事させ、社会から必要とされるような人間へと導かないせいで出所してもここへ戻ってきてしまうんだみたいなくだりとかメチャクチャそうだしな。社会から隔絶されて必要とされなくなってしまった人間はおそらくこうなってしまうんだろうな、と想像ができる。一生を檻の中で過ごすことになったとしても、そこでやることを見出し、生きる意味を見出し、ひいては希望を見出すのが素晴らしい。「こっちはお前の境遇に同情していうことを聞いてやってるのにお礼の一つもなしか」と怒る看守のシーンがじんときて記憶に残っている。それだけ人と触れ合う生活から隔絶されてきたこと、この看守がロバートをあくまで対等に扱おうとしていることが伝わる。そのあと黙って箱が差し入れられるのがまたとてもよかった。あと最初に拾って育てたスズメを逃すときに「俺のために星を見つけてくれ」みたいなことを言って、ステラ(イタリア語で「星」)という女性に出会うのが泣けてしまった。マジで運んできたんだな、星を……………

理由には共感できなくはないものの、主人公は2人殺してしまっているのでひとえに賞賛できないのが難しいところだが物語としては素晴らしいと感じた。
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