ヤスマサ

サンダーボルトのヤスマサのレビュー・感想・評価

サンダーボルト(1974年製作の映画)
3.7
銀行の金庫を20ミリ機関砲で破壊して金を盗み出すことから“サンダーボルト”と呼ばれた強盗ジョン(クリント・イーストウッド)と、威勢があって調子がいいコソ泥ライトフット(ジェフ・ブリッジス)の世代を超えた2人の友情と犯罪を描いたクライム・アクション。
ジョンは、強奪した金を持ち逃げしたと疑い執拗に追ってくるかつての仲間レッド(ジョージ・ケネディ)とエディ(ジェフリー・ルイス)に、盗んだ金は隠してあった小学校が建て替えられて無くなったと伝えると、新たな相棒ライトフットからもう一度強奪したらいいと持ちかけられる。

犯罪映画というより、ロードムービー感があったり、少し間抜けな感じがあったりと、大人の青春映画のような展開。
ライトフットも終盤で…、
「俺たちって泥棒って気がしない…、
なんとなく大仕事をしたって感じ」と言う。
風来坊のライトフットは、先の見えない現実から、何かを掴みたいともがく若者の象徴だ。
ジョンに何かしらの期待を抱いている。
中西部を舞台にしているのも、何処かノスタルジックで、古き良きアメリカへの懐古を意識したように見える。
しかし達成感を得ても行き着く先はほろ苦く、やはり希望のない現実なのかも知れない。

盗んだ金の経緯をレッドがあっさり信じてしまうところや、元金を稼ぐために真面目に働くところなど間が抜けてたり、赤髪が不吉だったり、百貨店でドーベルマンが飼われてるなどの伏線が張られているところが面白い。
反面、レッドが、撃たれてもまだ息のあったエディを無情に捨てたり、ジョンとライトフットを執拗に暴行するなどダーティーなところも伺える。
70年代のアメリカ社会を、爽快かつ切なく描いたと言える作品。
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