けーはち

マイ・ボディガード/燃える男のけーはちのレビュー・感想・評価

3.6
フランス/イタリア映画。CIAで紛争地帯を飛び回り、子どもの惨殺に心を痛めた男は、今回の警護対象であるイタリアの要人の娘と関わることを恐れていた。けれども、父親が傍におらず寂しい娘に振り回されるうちに次第に関係を深めていく。そんな中、娘は彼の目前で拐われてしまい──

疑似父娘ドラマものだ。これはもう完全に「娘に降りかかる魔の手 ➜ 追跡し悪者をボコボコにするオッサン」このパターンしか見えない。まあ、そう言うな。このジャンルはみんな好きだ。

スタインベックを引用して心に傷を抱えた孤独な二人が寄り添い合って、次第にうちとけて前向きになっていくところ、そこから急転直下の展開も悪くない。アクション要素は少なめだが、男は深手を負っており、その治療もままならず誘拐犯を追っているので納得がいくし、修羅場をくぐってきた男が動けないなりに必死に戦う意志に魅せられる。何より冒頭「死体袋に詰められる男」の独白形式で始まるところが、非常にノワール的でおしゃれ。ラストシーンにつながる、ぐっと引き締まる演出だ。風光明媚なロケーションも含め、私は割と良いと思ったが、ここのスコアはやけに低いな。デンゼル・ワシントン主演でリメイクされているので、先にそちらを見て派手派手ハリウッド・アクションをイメージして「何かテンポ悪ぃ~」と思ったのだろうか。