櫻イミト

マルキ・ド・サドのジュスティーヌの櫻イミトのレビュー・感想・評価

2.5
ヨーロッパのB級猟奇ポルノ監督ジェス・フランコが、マルキ・ド・サド「ジュスティーヌ~美徳の不幸」を映画化。フランコ監督の全作品で最高の製作費をかけ、助演クラウス・キンスキー、ジャック・パランスと豪華な顔ぶれ。

サド侯爵(キンスキー)が牢獄で執筆している――家の破産により、姉ジュリエットと妹ジュスティーヌ(R・パワー)は路頭に迷う。姉は娼婦になり”悪徳”の道に。それを拒否した妹は”美徳”な道を目指すのだが、次々と不幸に見舞われ、救いを求めてたどり着いた修道院にはサディスト教団の教主(パランス)が待っていた。。。

予算をかけたなりに美術セットや教会ロケはゴージャスで期待させるが、残念ながら中途半端な仕上がりだった。理由は原作の肝であるヒロインへの加虐描写が殆ど無いことで、試練が無ければジュスティーヌの変化に何の説得力も感じることが出来ない。その原因は大物俳優の娘ロミナ・パワー(当時18歳)への演出に制限がかかったとのこと。監督が望んだキャスティングではなかったとも伝えられるが、ロミナのキャラクターは清純なジュスティーヌには合っていたので、もっと工夫して演出してほしかった。執筆風景だけだったキンスキーのサド侯爵も同様である。

※本編113分のところ私が観た日本語版ソフトは95分で、18分もカットされている。全編を観れば多少評価が変わるかもしれない。
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