イチロヲ

マルキ・ド・サドのジュスティーヌのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
姉と生き別れになり、無実の罪を着せられた少女が、性倒錯者の慰み者にされてしまう。マルキ・ド・サド著「ジュスティーヌ または美徳の不幸」を映像化している、エロティック・ドラマ。

充足した性生活を生きる活力に変えようとする姉と、セックスの在り方に逡巡する無垢な妹を対比させていく論法。「女の魔性を利用しながら、したたかに生きる術」を実感することができない少女の、上昇と下降が描かれていく。

悲劇と喜劇の表裏性を含ませながら、人間の本能的行動を表現しており、「アホなことしてるなぁ、でも分かるなぁ」という同調性に浸ることができる。そして、大仰な音楽と共に登場する、獄中のサド侯爵(クラウス・キンスキー)に笑いを誘われる。

東映&日活の変態映画を先に観ていると、凌辱プレイの描写に不満が残ってしまうが、「色情狂の聖職者が出てくる成人映画は問答無用で面白い」の法則がきっちり働いているため、終始口角が上がった状態で鑑賞を楽しむことができる。
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