茶一郎

バットマン:キリングジョークの茶一郎のレビュー・感想・評価

3.7
『狂っちまえばいいのさ』

 たった13コマの狂気。これは作り手が悪意をジョーカーの狂気に込めたような恐ろしさで、初めて読んだ時は一回、ここで読書中断を余儀なくされた。
ジョーカーという純粋悪が煮詰まったアラン・ムーア原作のアメリカン・コミック「バットマン:キリングジョーク」
(表紙の『SMILE』とカメラを構えるジョーカーが一度、読んだ人にはこれまた戦々恐々)
ついにアニメ化。
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 あまりにも有名なジョーカーの悪事に加えて、ジョーカー誕生の一部始終、また、「バットマン」の世界では倒されたヴィランが精神病院に送られるように、精神病のジョーカー、そしてその鏡写りである夜な夜な黒いコスチュームで悪党退治するアイツもやはり精神病だと確信させられる気持ち悪さがある。
(これ以上は、アメコミにわかの私の文章より他の方の濃い文章を参考にされたい)

 今作では、「キリングジョーク」に加えて、バーバラのバット・ガールとしての女性性を強調するエピソードが追加。また、本編中の「キリングジョーク」パートにおいても、雨の中ジョギングをするバーバラの胸とお尻がアップになるカットが加えられ、これまた女性性が色濃くなるが故の胸糞度上昇であった。
とは言うものの、この追加されたオリジナルエピソードの出来については、お察しな部分があり、ブルース・ティム氏によるアニメーション(90年代バットマンa.k.a ハーレイ・クインちゃん誕生!)も原作の狂気を逆に強調しているとも言えるし、やや子供向けな絵柄にアレルギー反応を起こす方もいるかもしれない。

 何はともあれ原作ありきだが、やはり元の狂気はアニメでは衰えておらず、特にラストの切れ味は凄まじい。
笑えないジョークに鳥肌が立った。
茶一郎

茶一郎