エミさん

マイ・ビューティフル・ランドレットのエミさんのレビュー・感想・評価

3.8
1985年制作の英国映画。この作品の脚本を担当した英国人作家ハニフ・クレイシが好きで、映画館でデジタルリマスター上映されることをきっかけにこの作品を知りました。

やっぱり、ダニエル・デイ・ルイスが、カッコイイ!
もう、彼だけでも充分です!色白で筋の通った鼻筋。若くて色気にも溢れていて、スクリーン映えする容姿でしたねぇぇ。
抱き合った一瞬のすきに相手の首筋を舐めるシーンとか甘美でゾクッとしてしまいました。まだそんなには知名度がなかった頃の主演作ですが、やっぱりイイ男は若い頃から何か特別なものを持っているんだなぁ〜と思わされましたね。

この作品は一応、LGBTQにも分類されていますが。。
もちろん、男性主人公2人の恋愛も絡めているのですが、どちらかといえば、社会の底辺に生きる若者の反骨だったり、パキスタン移民が英国で社会的に偏見や弾圧と闘っている混沌とした様子の方が特徴的だったので、期待していたほどの恋愛模様の絡みがなくて、少しガッカリしてしまったのですが、単なる恋愛関係だけでなく、人種や移民といった英国社会の抱える問題を絡ませて、社会的なメッセージも込めて内容の濃い作品にしたかったのだろうなぁと感じました。今、観るとポップな印象に感じますが、87年日本上映当時は、これでも充分に刺激的な映画だったのかも知れません。

パキスタン移民のオマールと、英国人孤児のジョニー。
幼なじみの男性同士が大人になって再会して、友情以上のものを相手に感じるようになって、そのまま進展していけばいいのに、オマールは叔父に任されたコインランドリーの経営を軌道に乗せたくて金儲けの事が最優先。中々、進展していかないことだけでも観ていてヤキモキなのに、更にオマールは、遠縁の娘にも挑発されて、まんまとちょっかいを出す始末…。オマールはバイなの?バイって結構罪作りだよなぁ…なんて、観ていて、ついイライラ。ヤキモチを焼いたジョニーは店を放棄して飛び出しちゃったりして、経営が軌道に乗っていかないと、恋愛物語も進んでいかないようだ。
その上、コインランドリーの周辺地域では特に移民を忌み嫌っている輩が多く、トラブルも絶えない。ジョニーの不良仲間も移民を良く思っていない上、ジョニーとつるめなくなって、オマールを良く思っておらず、ジョニーの後を追っかけては、オマールにいつか仕返しをしてやろうと目論んでいる。
その攻防戦と、ジョニーとオマールの関係の行方が、次々起こる問題のぼっ発で変化していって、うまくいけばイイのにと願いつつ、「次はどうなる?」と、オフビートな笑いに乗せられているうちに、まんまと作品に引き込まれてしまっておりました。

正直、大画面でなくてもいいかな〜とは思いましたが、80年代英国の雰囲気が堪能できて、イイ男も拝めて、エバーグリーンな作品でした。

少し気になったのが効果音。なんだか不思議でした。ドラクエの命を落とした時にかかるようなピアノの怖い効果音みたいな音楽が流れたり、コインランドリー経営が主軸だからなのか、場面替えの時や2人の絡みシーンにはバブルが弾ける音入りの効果音が流れたり。なんだかコミカルな感じで、音楽も『 ザ・80s 』という印象です。関係を深めようとしている艶っぽい良いシーンは願わくば、もう少し色っぽい効果音であって欲しかったです。