ぺむぺる

アブノーマル・ウォッチャーのぺむぺるのレビュー・感想・評価

1.0
ひさしぶりに見終わったあと「で?」となってしまった。

話の筋はド直球で、「キモいおっさんがキモいことをしてキモかったです」という、ある意味肝の据わったところを見せてくれる作品ではあるが、肝となるキモさが大してキモくないばかりか、そのキモさは往々にしてルッキズムの鬼門を侵しているような、そうでなくともまだこんな程度で満足してるの?との疑問を抱かせる映画である。

「監視カメラ」がテーマなわりに〈覗き〉をフィーチャーした作風というわけでもなく、何を見せたいのか終始ピンボケ気味。監視が怖いのか、不法侵入が怖いのか。このへんを曖昧にしたままダラダラとことが進むもんだから、結局は“おっさんの奇行がキモい”というなんの面白味もない嫌悪感だけが残ってしまう。それはあたかも肝試しの最中に他人の吐瀉物を見せつけられたようなもので、一端の人間が映画でやることではないだろう。

そのおっさんにしても、こう言ってはなんだが、そのへんにいるちょいと不潔で締まりのない顔をしたおじさま以上の凄みは感じられず。ネジの一本二本抜けてはいるものの、観客の「胸糞」や「後味の悪さ」を喚起するには明らかに力不足。「何がしたいのかわからない」という得体の知れなさも、悪いほうに転がってどうもとっちらけ。

奇人の奇行を見る喜びというのが映画にはたしかにあって、そんな目で見れば(それ以外どう見ろというのか)「もっとエグいことやらんかいっ!」と息巻いてしまうこと必定の作品。しかし、そんな我々の態度こそ実にアブノーマル。13番目のカメラは観客の視線。なんて含みがあるんだったりして。
ぺむぺる

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