【変わらぬ引き鉄】
ちゃんと劇場でみたいなあ…と思いつつ機会逃し、JAIHOにあったので、冒頭再生したら一瞬で引き込まれ、そのまま一気見してしまった。劇場でなくとも、凄みは十分伝わりました。
アルジェリア戦争一部の貌を徹底的に掘り込み、恐ろしいまでに描かれるその木を見て、否応なく森が想像されてしまう映画。よそ見しない作り手の視線が凄い。
アクション映画ですね。客に媚びるエンタメショーとしてのそれではなく、人物が延々、動き続けているということ。そうしないと命を取られてしまうから。だから、ようやく静寂が訪れるのは…。
アルジェの人たちには毎日の暮らしがあり、その街で同時に、戦争をしている。となりのテロ。この地続き感を即、浴びせてくる映画の力。
1966年の映画ですが、まったく今と変わらないじゃないか、と感じられてしまった。この濁悪感覚は、日本だって他人事じゃないです。
監督はジャーナリスト出身で、実際にパルチザンやっていたこともあるそうな。最終的には、ネオリアリズモで目覚め、映画を武器にしたという。
イタリア人の立場だから、本作には冷徹さを醸すこともできたのでしょうが、この夾雑物のなさは、映画のあるお手本でもありますね。
一応、アルジェリア戦争が終わって、4年後の発表ですが、火の燻りがぜんぜん、消えていない。よい時につくられ、ずっと残すべき映画となったと思います。
やっぱり、旧作も見続けないといけないなと。
これ、『ジャッカルの日』につながる映画でもあったのですね。
<2021.7.29記>