Melko

アルジェの戦いのMelkoのレビュー・感想・評価

アルジェの戦い(1966年製作の映画)
3.9
「アルジェリア人よ、勇気を持て。恐るな。勝利は僕らのものだ」

「早くしろ、ネズミ野郎」
「喰らえ、犬ども」

「民衆よ、家に帰りなさい!君らの望みは何だ!」
「我らの望みは独立だ!!」

怒りを手に、立ち上がれ
恐るな、蜂起せよ、立ち向かえ—-

なんと、この作品に資料映像は入ってないのか……全て新たに撮られた映像なのか。。

戦争ドキュメンタリーを見てるかのような迫力だった。
何度も見たくはないのでこの点数だけど、歴史を忘れないために作られた意義を感じる。ダイジェストの資料映像ではないからこそ胸にくるものがあるし、どちらが100%悪いということもない、戦いの虚しさややるせなさも感じ、改めて「戦争」とは何なのかを考える。
アルジェリアが独立した背景にこんな歴史があったとは。私ホント何にも知らないな…でも映画だからこそ学べた。アマプラの強烈すぎるジャケットにドキッとなってレンタルしただけで、内容をあまり分かっておらず、あらすじだけ見て鑑賞したが、それでもついていけた親切設計。
後世にバッチリ残してやろう、と言う気合を感じる。

作品を見ていて、よくスポットが当たるのはアリ・ラ・ポワントだが、それ以外の人物たちもクローズアップされる。
誰が「主役」ということはない。
一人一人が、憤り、怒り、悲しみを抱えていて、それぞれのやり方でフランスに抵抗していく。

合法的な尋問など存在しないし、暴力はどんどん連鎖する延長戦。
やられたらやり返すの繰り返し
だから、どちらか一方が理不尽で非道には感じない
どっちもどっち
だけど、もはや平和な歩み寄りや対話では解決できなさそうな、煮えたぎる怒り

臨場感あるド迫力の銃撃戦や爆破シーンもすごいけど、私がウワッと思ったのは
テロ組織の女性3人が一般人に紛れて爆弾を運ぶシーン
変装し、カスバを出てヨーロッパ地区へ堂々と侵入、爆弾を受け取り、カバンに忍ばせ、バー/ダンスホール/空港の3カ所に散らばり爆弾を置く…
一連の流れが丁寧に映されていて、しかもなかなかの緊張感…
流暢なフランス語、兵士も女性には甘い、「必ずやり遂げる」という女たちの強い意志……

闘志が燃えている場面でドンドコドンドコかかるBGMが緊張感と闘争心を煽る
不思議とレジスタンスを応援してしまう

実は物語は終盤付近のシーンから始まっていたことに気づく
レジスタンスの最後の1人が…

そして
誰かの声かけ発信なのか、2年の沈黙を破り、一気に立ち上がるアルジェリア人
丸腰で立ち向かう
撃たれても、刺されても、歩みを止めない
ものすごい人数だ
凄すぎて、祭りを見てるかのように錯覚する

ラスト
土煙の奥から歩いてくるアルジェリア人
このカットはわかっていても唸る
甲高い声の威嚇音
私たちは負けない、一丸となって戦う
と言ってるかのような

第三者が撮ったから、忖度なしのリアルな映像が撮れたとも言えるだろう
自国ならあそこまで非道には描けないと思う
ほぼ全員が素人だからこその迫力
そして、実際にその独立戦争を体験した者達が演じるリアリティ
画面に満ちた熱気とパワー
少年だって立派なレジスタンス、搾取され、支配されるぐらいなら、死を、なのか

誇り、自尊心、自国愛、生活、怒り、憤り、抵抗、服従、暴力
絶対に譲れないものとは

カスバってThe Clashの♪Rock the Casbahしか知らなかった
参考にしたレビュー
https://yorimichim.exblog.jp/9457227/
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