kojikoji

アルジェの戦いのkojikojiのレビュー・感想・評価

アルジェの戦い(1966年製作の映画)
4.0
すごい映画だ!
これは間違いなく必見の映画と思う。

 歴史という概念そのものが西欧で生まれているから、西欧の歴史は当然のように勉強するのだか、実は、西欧が濃厚に関わっている、今の世界の国々の建国の歴史、独立はどのようにしてできたのか等についてはほとんど勉強していない。
この映画で、改めてその不勉強を指摘された気がする。

 この映画の特徴はドキュメンタリーを観てるような緊迫感とリアリティだ。それだけにすべてが戦いに参加しているような気持ちになる。
 ひとつの国が独立・誕生するということが、どういうことか、その戦いを通して、真正面から描いていて、傑作中の傑作と思う。

 私達には独立の経験がない。そのため建国記念日がない。(2月11日は何の意味もない。法律に定められた日というだけ)
それがある意味、私達の国の最大の欠点なのかもしれない。
私達国民は一度もアルジェリアの人々のような「自由」を勝ち取る戦いを経験していないのだから、「自由」の意味も本当のところは分かっていないのかもしれないと思うのだ。

#1376 2023年 410本目
1966年 イタリア🇮🇹/アルジェリア🇩🇿映画
監督: ジッロ・ポンテコルヴォ
撮影: マルチェロ・ガッティ
音楽: ジッロ・ポンテコルヴォ、 エンニオ・モリコーネ
1966年ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞

1954年から62年にかけてフランス領のアルジェリアの独立戦争を描く。

ジャーナリスト出身のジッロ・ポンテコルボ監督が、目撃者や当事者の証言、残された記録文書をもとに、戦争の実体をドキュメンタリータッチでリアルに再現している。
アルジェリア市民8万人が撮影に協力したらしい。
主要キャストには一般人も多数参加。
戦車、武器類はアルジェリア軍より調達しているとのこと。
撮影は、アルジェリアの首都アルジェのカスバでオールロケを敢行し、5年の歳月をかけて製作されている。
 音楽はエンニオ・モリコーネが担当している。やっぱり彼の音楽は耳に残る。

 ベネチア映画祭でグランプリにあたる金獅子賞を受賞した際、現地入りしていたフランス代表団が「反仏映画」として反発し、フランソワ・トリュフォーを除く全員が会場を退席したという逸話が残されている。度量の狭いことだ。

 映画なら中程、組織を動かすリーダーが逮捕前に若き闘志アリ(本作の主人公)に言う言葉が重い。

 「革命を始めることは簡単ではない
 続けるのはさらに難しい、
 勝つのはそれ以上だ。
 だが、本当の困難が始まるのは戦いに勝利した後だ」

 この言葉の意味が本当に重い。
今、2つの大戦を機会に独立した世界の国々は、「本当の戦い」に勝利していると言えるだろうか?
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