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アルジェの戦いのkiritoのレビュー・感想・評価

アルジェの戦い(1966年製作の映画)
3.9
【目線の先】

あたかもドキュメンタリー映画を観ているかのように錯覚させる本作。
ずーと観たかった作品でしたが、ツタヤにVHSしかなく、泣く泣く諦めてた作品です。

実際にあった『アルジェの戦い』に焦点をあて、アルジェリア人とフランス人との攻防を描く。
恥ずかしい話、こんな歴史があったとは知らず、まさに無知でした…

あるアパートに隠れている主人公がフランスの軍にバレる部分からこの映画は始まり、時系列を巻き戻す。

まず、この映画は過度な説明をしないところに好感がもてました。
その代わり歴史的な事実を時間を表示するなどして時系列でその様子を再現してくれます。

『テロが効果的なのは最初だけ』
『革命を始めるのは簡単なことではない。』
等々、革命を起こす側のFLNの苦悩を丁寧に描いてくれます。

他方で、FLN側だけに感情移入させるのではなく、フランスの体制側についても描かれるのでその意味でもかなり中立的な立場から描かれてると思いました。


何よりもこの映画は『目』が印象的。
まさに民衆のその目は悲劇も、現実も全て見てきたのでしょう。

個人的に好きだったのはマチュー中佐。
拷問も厭わない鬼軍曹ですが、それでも実は人間らしい部分があったりとなかなか憎めませんでした。


革命を成功させるのは爆弾テロではなく、民衆なのだ。
その趣旨の発言が最後によく明らかになり、彼らの残した何かの火種は確実に結果へと結びついたのだなぁ…と

2016.10.29
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