ベルサイユ製麺

ガザの美容室のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ガザの美容室(2015年製作の映画)
3.6
…ガザの美容院の話なので、当然美容師が出る。なので”ガザ・師ー”とか言って(然程詳しくも無いが)Zガンダムの話でやっつけられるぞ…と、頭の中で悪い声がするので、炬燵の天面に勢いよく脳天を打ち据え黙らせてやった。R.I.P 頭の中の善くない自分。いやぁ、刻の涙を見たなぁ。
…だいたいですね、男どもは何やってても頭の片隅では1年戦争が続いてたり、スターデストロイヤーがグゴゴってなってる“争い大好きアニマル”なんですよ!


現代。パレスチナ自治区のガザ。
小さな美容院の美容師と客の女達。お馴染みの停電、更に急な交戦状態の中で、蒸し暑い店内で過ごす事を余儀無くされた…。


…ガザについては各自鑑賞前に是非お調べ下さい。僕は調べずに観てしまったので、…それでもお話は全く難しく無いのだけど肝心のところを汲み取り損ねている気がするな…。
まあとにかく政治的にも宗教的にもややこしい所(だったはず…)で、現在もあっちこっちで複雑怪奇な武力衝突が起こってるわけですが、それでも普通の生活は有る。髪は伸びるし美容も大事なのです。普段髪を見せない様にして暮らしている彼女たちにとって美容院とは、男共にとっての銭湯みたいな感じなのでしょうか?とにかく開け透けだったり悪態ついたりとかしましい…。
外では馬鹿な少年共がボール遊びしたり、マシンガン持ったクソ馬鹿男がライオン連れて(!)、中で働く美容師の妻に睨みを利かせていたりと、ホント男ときたらよぉ…。
前半は、離婚したい美容師、妊婦、経験なムスリム、高飛車な美熟、御見合いをさせるために嫌がる娘に無理やりお粧しをさせる毒母etcによるストレスフルでちょっと愉快な会話劇。ネガティブな荻上直子作品といった趣き(ちがう)。
後半に入ると、突如巻き起こった戦闘にどうする事も出来ず、更にストレス度が上がり罵り、いがみ合う女たち…という、なかなかしんどい展開になります。不謹慎ながら、そのしんどさが面白い。もう充分面白い!…だけど、やっぱり細かい部分は理解出来てないんですよね。軽口憎まれおばさんが、客やスタッフ一人一人に「あんたは××大臣だね」と当て嵌めていくシーンとか、きっと凄く上手く現地の状況と照らし合わせてるんだろうけど、サッパリ分からなかった…。勿体ない。これは、いつか必ず再チャレンジします。

後半、店内がずっとランタンのオレンジの光に照らされてて舞台劇観てるみたいでしたね。生と死の濃密なムードが立ち昇る、凄く良いシチュエーションなんですけど、やっぱり信仰心が強すぎる人が1人混じってると『ミスト』感が漂っちゃいますね。今作の場合は結局良い人だったんですけどね。
全体的なコンパクトにまとまってて良い感じです。ラストの着地点はもう少し広いレンジで観たかった気もしますけど、想像力を働かせろ!って事ですかね。あー、勉強大事。

…個人的には、ガザDよりやっぱりガザCの方が好きですね。フェミニンな配色ですしね🌸
…ブーン ドドドドドド…


はぁ…。1週間やった締めくくりがこんな程度の感想かよ…。