EDDIE

アリータ:バトル・エンジェルのEDDIEのレビュー・感想・評価

4.4
新しいアクションヒロインここに誕生!究極の映像美と限界を超えたCGの可能性をIMAXで堪能あれ。

ジェームズ・キャメロンが20年以上前から構想してきた脚本。それを「シン・シティ」のロバート・ロドリゲスがバトンを受け取り、監督として完成させました。

まず触れたいのはアリータのビジュアル。予告では「少し目がデカすぎでは?」と気になっていたものの、実際に動いているのを観るとどんどん彼女の魅力に引き込まれます。演じたローサ・サラザール自身もリアルアリータなのではと思わせるほどの大きな瞳の持ち主ですが、とにかく彼女の動きに合わせてアリータというサイボーグのCGを当て込んで、一つ一つの表情が見事に表現されていました。
オレンジを食べた時の表情など色々とありますが、やはり特筆すべきはヒューゴと初めて出会った時の恋する乙女の表情。CGでここまで細胞レベルまで表現できるのかと、とにかく圧倒されました。

本作のアクションとしての見どころはたくさんありますが、やはり酒場でのハンターウォーリアーたちとの戦いとモーターボールのシーンは必見だと言えます。
特にモーターボールのシーンは、ハラハラドキドキの連続。映像の美しさも相まって、是非ともIMAXで観ていただきたいです。

また、素晴らしいなと感じたのは原作に対するリスペクトをしっかりと表現していること。2/21公開日に観に行きましたが、私が参考にしている映画ブロガーさんが原作まとめを書いていたので、それをきっかけに原作「銃夢」を本作に該当する箇所を読ませていただきました。
そう、原作に出てくるあらゆるシーンを忠実に再現しているのです。これは原作ファンにとってはたまらないですし、ここにキャメロン&ロドリゲスのこだわりを感じた次第です。
で、2回目を2/24に観に行きましたが、改めて原作を意識して鑑賞すると、また二重に楽しめました。
原作「銃夢」はAmazonなどで電子書籍でも配信されているので、もしご興味ある方は読んでからまた本作を観ても面白いと思います。

あとはベクターを演じたマハーシャラ・アリの存在感は凄かったですね。「ムーンライト」から彼の演技には惹かれており、そして本作。これは「グリーンブック」も期待せざるを得ませんね。

個人的には満点を出したいほど満足度は高いのですが、マイナスポイントは大きく2点。脚本とヴィランの描き方です。
脚本についてはやはり次回作を意識しすぎた作り方とモーターボールぐらいから駆け足でクライマックスまで話を詰め込んだなぁという印象が湧いた点です。
ヴィランについては、やはり「葛藤」と「苦しみ」が上手く描かれていなかったな、と。もちろん尺の問題でそこまで入れ込めなかったのでしょうが、原作ではあそこまでただの敵キャラという扱いではないんですよね。彼らにもバックボーンがあり、だからこそ戦いに興じ、そしてアリータに挑戦し救いを求めるわけです。
本作のグリュシュカも原作で彼に当たるキャラがいるわけですが、あんなただの暴走するだけの悪役キャラに収まらないんですね。むしろアリータが戦いに勝った後、ちょっと感動するシーンもあったりするわけです。

とまぁ、色々と残念な点も書かせていただきましたが、総じて満足度は高く、私はこのアリータのファンになりました。
興行収入が次回作の有る無しを左右すると思いますが、ここまですっきりしない終わり方なのであれば、次回作に期待するしかありません。いや、むしろこれは作らないとダメでしょう!もちろんメインキャストは同じままで製作してほしいので、あまり間をあけずに!
EDDIE

EDDIE