ベルサイユ製麺

メリー・ポピンズ リターンズのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3.6
…メリー…ポピンズ?
どんなでしたっけ?朧げな記憶だと、何か棒状の物を掲げて天空から降りてくるイメージが有るだけど。…バールかな?鉄パイプ?


1930年代。?
ロンドン。
バンクス家は、妻を亡くしたマイケルとその義姉ジェーンで仕事に・子供たちの世話にきりきり舞い。更に突然告げられる借金返済期日…。もう後が無い。追い込まれたバンクス一家の下をタイミング良く訪ねたのは、…◆短く刈り込んだ頭髪と髭、銀縁メガネの奥に堅気とは思えない鋭い眼光。黒いナイロンジャージのセットアップの男。“カウカウファイナンス”と書かれた名刺を差し出し「何か有ったらオレに言え…」と。


極度の衰弱状態のマイケルは、この明らかに闇金業者の男を、かつて少年時代の自分の教育係を務めてくれたメリー・ポピンズに他ならないという自己暗示(年齢を考えると他人なのは一目瞭然なのだが)に掛かったマイケルはウシジマ改めポピジマを家庭に招き入れてしまう。
初めのうちこそ、甲斐甲斐しく家事などをこなすポピジマだったが、やがて(恐らくは薬物などによる)幻覚でバンクス家を操りだ…

…という法螺は、先ず“バール”、次に“借金返済”というワードを使ったことにより自然に形成されました。人間の脳というのは、かように思い込みに左右されやすく、しかしその思い込みが多くのフィクション、ファンタジーを生んだ事も紛れもない事実なのです。…サアサア、煮るなり焼くなり好きにしろい!!


それで、今作なのですが、
全体的にストーリー部分が弱い気がしましたね。ポピンズによって誘われるミラクルなパートとパートを繋ぐブリッジが退屈に感じてしまいます。エミリー・ブランド演じるメリー・ポピンズを見ているだけで目が嬉しいという方は別でしょうが、私共のようなベン・ウィショー派にとってはマイケルの出番が少なくて食い足りない…。個人的にはベン・ウィショーas“髭の貴婦人”メリーポピンズ、という方法もあり得たのではないでしょうか?
作品のテーマ。もし“子供の頃の心を忘れないで!”なのだったら「間に合ってます」と言わざるを得ない。寧ろ、忘れ方を教えてください…。

流石のロブ・マーシャル、ハイエンドな作りです。クライマックスの高揚感は本当に大した物。高い評価にも全く異論はありません。
ただ、どんな作品でも好みや思い入れの度合いの違い、勿論性差の問題などは確実に有って、自分にとっては例えば『パディントン2』とかには到底及ばない作品たと感じてしまいましたよー。
なんだか古典作品のリメイク(?)って、大概それなりの出来って印象ですね…。でもやるんだよ!…だな?