ピッツア橋本

手紙は憶えているのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.9
認知症の老人が手紙(知人が書いてくれたメモ)を頼りに自分が為すべき目的を果たしにいく、という一風変わったロードムービー的ミステリーサスペンス。

アメリカに帰化して英語を話すドイツ人、というのがポイントでナチスドイツとアウシュビッツや銃社会についての提議が散りばめられている。

後半の展開は意外性があって引き込まれたのは確かだけど、俺にはいささか悪趣味に感じた。
原題のrememberが認知症と過去の因果に揺れる老人をギュッと体現していて、多層的な解釈に取れる力のあるストーリーであるのは間違いない。

途中で老人がホームセンターで警備員に軽く呼び止められるシーンがあるのだが、そこで老人のバッグから出て来た銃をみて
「グロッグか。銃は初めて?最初は俺もこれだったなあ」
と笑顔で返してしまうのが静かに衝撃的だった。そこまで物語に直結はしないさりげない場面なのだけれど、
実際アメリカってこんな価値観なんだろうなあとすごくリアリティを感じた。

重たいミステリー観たい人は充分納得出来ると思う硬くて異質な作品。
ピッツア橋本

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