エンポリオ

手紙は憶えているのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

歴史の上に成り立つ人間の物語。
ナチスドイツに対する怒りを胸に家族に雪辱を果たそうと奔走するセヴ。彼の参謀として活動するマックス。揺らぐ銃口が向く先は。
良く出来ている、という印象だった。目を背けるわけにはいかぬ歴史上の出来事に焦点を当て、物語性も保持しつつ、この作品自体のアイデンティティーとも捉えられる要素も盛り込まれていた。しかし、「納得がいかない」ような肌触りに感じる人も多いだろうな、とも感じた。この物語の中だけで見るとどうにも一貫しないものが見え隠れするのも事実であった。
全体を通して、人間に対する視点が鋭く描き出されている感触があった。名前も、記号も、頼れるはずのものがその情報を失った時、人は何を以て人を判断するのか。手紙なのか、旗なのか、家族なのか、銃なのか。この作品は歴史をバックボーンにすり込むことで、しかし事実は引き剥がすことが出来ないということを、改めて突きつけているように思われた。
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