歯医者のお姉さん

手紙は憶えているの歯医者のお姉さんのネタバレレビュー・内容・結末

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かったです!

ここいるのかな?っていうシーンや現実離れしたシーン、実際に迫害された方達したら半端なところに怒ってしまいそうなシーンも多々あったけど(製作者側はユダヤの人いないんだろうなあ。ドイツが、さも私達はこの悲惨な歴史を隠しません!反省しています!ってアピールしている意図もあるような気がしてそこはちょっと好かないけど)それがあっても面白かった!

観ているうちに、どんどんよぼよぼゼウ頑張って!って救援心強くなるし、どんどんナチ嫌いになっていくのに、ラストお前か!ってなるの酷過ぎて嬉しい…!(変態)
ちょっと中弛みするけど、ノーマーク故のクライマックスの強烈さでした。

マックスの視点から見返すと本当に切なくて心臓が痛い。
ゼウが倒れて病院に運ばれた時、マックス…?と覚えていなかったシーンにぎゅっ。
マックスが、施設で君と出会って奇跡だと思ったと言うシーンにぎゅっ。
もうちょっと大胆に伏線あっても面白かったと思うけれど、そういう繊細なとこ、嫌いじゃない!笑

マックスは一度もゼウの顔を忘れた事はないのに、ゼウは何もかも忘れて、呑気に家族と幸せに暮らし、忘れたまま安らかに死んでいくなんて絶対に許せず、思い出させたかったのだと思います。それが復讐だったのだと。
殺す復讐ではなくて思い出させる復讐なんて今までになく新鮮で、マックスの絶望で空っぽになった心に増殖した怨みの奥底の悲しみが窺えて、複雑な心境の演出、グラデーションが本当に素晴らしい。

ラストにあいつが私の家族を殺したんだと無表情で発した後の、あの表情が模範解答でした。切なさで苦しくなります。
このシーンがこの映画を表す一番の見所だと思いました。

"手紙は憶えている" 。

例えお前が何度忘れようとも。
見終わってからこの意味がわかると怖すぎる、
パワーワード過ぎて震える…