香港発のバイオレンスコメディ。
極彩色のドギツイ映像の中で繰り広げられるシュールな展開が不思議な余韻を残す怪作。面白いかどうかは各々観て判断してもらいたい。
タランティーノに憧れているであろうオフビートな会話劇と過剰な血飛沫はまあまあ刺激的だけど、全体的に製作側の自己満足が透けて見えるのがやや薄ら寒い。深夜のコンビニの中だけで展開される1シチュエーションスリラーでコロコロと目まぐるしく進行するストーリーはそれなりに興味深いけど、ピントがぼけたギャグ要素がそのテンポ感を削いでいたようにも感じてしまう。
ツっこんでしまえば隙と粗だらけのチープなB級映画だけど、愛嬌のある登場人物たちの生き生きとした演技はなかなか魅力的だし、知名度の低さにしては個人的には割と楽しめたので掘り出し物を見つけた気分にはなる。
この映画もやはり原題の方がシンプルだし的を射ているなぁ。クレイジー・ナインってタイトル自体はスタイリッシュで悪くないけど、9人なのか分からんしそもそも全員がクレイジーなわけでもない。ラストのどんでん返しを意図してのタイトル付けって訳でもないだろうし。邦題ってのはイマイチなものが多いから原題もちゃんとチェックしておくと映画の楽しみは広がるね。
ナンセンスモノなので頭を空っぽにしてアルコール片手に観るくらいが丁度いいと思います。
