ちろる

水の精 マーメイドのちろるのレビュー・感想・評価

水の精 マーメイド(1996年製作の映画)
4.6
三鷹の森ジブリ美術館が世界のアニメーションを紹介していくことになった中のそのプログラムの第一弾がアレクサンドル・ペトロフ監督のこちらの作品と、「春のめざめ」でした。
海辺におじいさんと2人暮らしをする少年が、ある時岸辺に裸でいる女の子を見つけるが、それは水の精、所謂マーメイドだった。
無邪気で、神秘的なマーメイドにどんどんと惹かれて心を奪われる少年なのだが・・・
人魚の伝説ってその地域によって美しいものや、残酷なものなど色々あって、スラブの伝統的な民話に基づいて作られたこのお話がどのような方向に行くのか全く先が見えない描き方がいい。
油絵で描かれるまるで生きているような荒れ狂う水の様子、花が咲いたように笑う美しいマーメイドの笑顔など、アレクサンドル・ペトロフだからこそ魅せられる、圧巻の映像美が短い中にぎっしりと詰まっていてほんとに贅沢。
美しい世界が広がるからこそ、ラストに描かれる民族を超えた禁断の愛の少し残酷で切ない結末がいつまでも脳裏に離れない。
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