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哭声 コクソンのぉゅのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
3.8
2020年 21-125-4
「チェイサー」「哀しき獣」等のナ・ホンジン監督。実在する韓国の地名「谷城」と、「泣き叫ぶ」という意味の「哭声」をかけたもの。

何の変哲もない田舎の村、谷城(コクソン)。その村の中で、村人が家族を惨殺する事件が立て続けて発生する。容疑者にいずれも動機はなく、幻覚性の植物を摂取して錯乱したための犯行と発表されたが、謎の発疹を発症するなど説明しきれない不可解な点が多く残っていたことから、いつしか、村人たちの中では山中で暮らす謎の日本人(國村隼さん)が関わっているのではないかとささやかれはじめる。捜査にあたる警察官のジョング(クァク・ドウォンさん)は、オカルトじみたその意見を当初まともに取り合わなかったが、実際にその目で数々の異常事態を目撃したことにより、徐々に疑念を抱き、一度は断念した男の家への訪問を決める...

私は、人より少しは韓国の作品を観ている気がていたつもりだった... が、韓国作品の奥深さを感じた作品になった...

國村隼さん演じる謎の男が不気味というか、怖い...

“雷に打たれて死んでしまえ”
自分の言霊が、自分に返ってくる?
赤い発疹、口から吐いた血が目に... あの遺体は... そして、ジョングの娘ヒョジン(キム・ファニちゃん)にも魔の手が...

謎の男の家、狂暴な犬、無数の写真、事件の被害者の生きている頃の写真、被害者の遺体の写真、ヒョジンの名が書いてある靴の片方... ジョングとヒョジンの親子喧嘩、ヒョジンの口調、ヒョジンのノート、そしてヒョジンの太ももに●い●●が...

ジョングと謎の男の対面。苛立ちが募り暴れる回る “動” のジョング。ジョングの言葉も威嚇にも無視し動じない “静” の謎の男。ヒョジンは今までの被害者と同じ症状と診断され...

“あいつの仕業に違いない 俺も奴の家へ行ってから体が痛むんです 熱も出るし幻覚も見る 壁から男の顔が浮かび上がって 死人が見えたり”
翌日、玄関にはヤギの死体がぶら下がっていたが、ジョングは手足が全く動かず立ち上がれず、更にヒョジンは、預けられていたお隣のおばさんを刺してしまい...

“生きている人間がどうして霊なんですか”
醤油の甕からカラス、これが元凶ならジョング一家もか?悪霊。あいつは悪霊なのか?とうに死人?祈祷も “動” と “静”。あの祈祷の杭打ちが、ある事とある事とリンクしているよう...

“お前は何者だ?何者だぁー!”
根も葉もない噂、異物や自分とは違うものを恐れるという偏見や勝手な決め付け、確証もなく排除しようとする風潮。そういうものが数々の冤罪や自殺を生んだ(最近では、勝手な思い込みから、SNSへの誹謗中傷の書き込みや、それの拡散)。それこそが悪霊なのか?もしかしたら、あの謎の男は日本の僧で、死者を弔っていたのかもしれないし、余命幾ばくで、あの祈祷中に悶え苦しんだのかもしれないし、醤油の甕にカラスを入れたのが、祈祷師が入れたものかもしれない。本当に毒キノコ入りの健康食品のせいかもしれない。最後のあのシーンは、彼の夢なのかもしれない。でも、これが正解かどうかもわからないような終わり方。観た人の印象は様々だと思うし、それでいいのではないだろうか。全てはナ監督のみぞといった風にも、私は思えた。

あともうひとつわかった事、作中に外郎の描写のある作品が面白いんじゃないか説が、より確信に近づいた事。

約5年遅くなりましたが、國村隼さんの日本人として、また韓国以外の外国人として初めて青龍映画賞で賞を獲得されたことに、遅くなりましたが、おめでとうと言わせて下さい!

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