湯っ子

哭声 コクソンの湯っ子のネタバレレビュー・内容・結末

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

最初はサスペンスかと思って観ていました。
情けないお父さんとおませな娘のやりとりもちょっと笑えたりなんかして。
それが、段々と思わぬ方向へ向かい、全く予想のつかない展開…

一度観ただけではとても理解できない。
謎解きをしたいけど、また観る元気は今はないかも。

子役の女の子の演技が凄まじく、メンタルが心配になるくらい…最初のコメディ演技からの振り幅に驚く。
最後の方に、一瞬映る父と娘の幸せそうなショットが切ない。

そして國村隼さん!まさに怪演。
山の上の家に、主人公の駐在さんたちが押しかけた時の彼は、人を呪い、人肉を喰らうような恐ろしい男には見えず、複数で彼を囲む村人たちの方が怖かった。
この時の彼と、村人たちに追い詰められて隠れている時の彼、崖から落ちた彼、村人の車にはねられて死んだ彼、最後の方に神父見習いの男と対峙した時の聖痕を持つ彼は同じように見える。

聖痕を見せた彼が次に表す姿は、獣じみた身体に鋭く伸びた爪、異様な瞳。まさに悪魔だ。
だからといって、この日本人の男の真の姿が悪魔だというわけではないような。
聖痕を持つ男と悪魔は、表裏一体で同じものとして描いている気がする。

私がこの映画の中で一番嫌な印象を受けたのは祈祷師だ。不遜な態度、インチキくさい除霊。

白い服の女も謎だ。

一方で、サプリと言って売り出していたものが毒キノコの成分でできており、一連の奇妙な症状はこのサプリのせいだというニュースも示唆される。

國村隼、さっき死んだんじゃなかったっけ?と思うこともあり、どれが現実で、どれが夢だったり幻想だったり想像だったりするかもわからない。とにかく混乱する。

YouTubeに、カットされたラストシーンがあることを教えてもらって観たが、これを答えのように思うと騙されるような気もする。

恐ろしく気持ち悪くも、私は謎を楽しんでいる。夢に出てきたら嫌だけど、今晩はもう少しこの映画の謎について考えてみようっと。
湯っ子

湯っ子