Eirain

哭声 コクソンのEirainのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
3.8
『ヒッチャー』に続き、こちらもAmazon Prime Videoの見放題に入っていたので、実家で家族と鑑賞。

舞台は韓国のとある村・谷城(コクソン)。この静かな村で、異常な惨殺事件が立て続けに発生する。これらの事件は幻覚性の毒キノコが原因であると発表されるが、村人たちは山中で一人で暮らす日本人の男(以下、"男")が関わっているのではないかと疑う。警察官のジョングも、村内で広がる噂話や、"男"の家で見つかった惨殺現場の写真や怪しい祭壇で"男"の関与を疑い始める。そして、同僚の警察官から"男"の家からジョングの娘の靴が見つかったことを知らされ、自宅で豹変した娘を目の当たりにしたとき、ジョングの"男"への疑念は確信へと変わる――――。

「人の"疑念"や"思い込み"が生み出すカオス」

人にはそれぞれの"世界"があり、同じものを見ても捉え方は個々人で異なる。ある人にとってAは「善人」でも、別のある人にとっては「悪人」の場合もある。"世界"は、周りの環境によって変性するものだが、強固に固まってしまった"世界"は簡単には変えることが出来ず、信じたくないものから目を逸らすように、都合の良いものだけを視るように、"世界"を守ろうとする。

本作は、この"世界"を固めてしまい抜け出せなくなった者たち、自分の持っている"世界"を明らかにしない者たちによるカオスだ。おそらく、真相に決定的な正答はない。鑑賞者自身の"世界"で自身の答えを見つける、そんな作品のように思えた。
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