かなみ

哭声 コクソンのかなみのネタバレレビュー・内容・結末

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

映画の最初に語られるルカ福音書24章の引用、これが映画を徹底して貫く。信心を求め続ける。ムミョンが神であるにも関わらずジョング一家が救われなかったことは、恐らく鑑賞者に神への懸念を与えるためであり、しかしそれは作品のエッセンスとは矛盾する。

國村隼がキリストであるならば雷のシーンやジョングの罪も理解できるが常に彼に纏う悪魔的モチーフのカラスが気になった。國村隼は救済者としてではなく地上に受肉した人間的キリストの面が強く、おぞましく映る形相は彼への人間からの無理解そのものである。異邦人への排他的な村人の様子からは旧約聖書を中心としたユダヤ人的な姿勢が伺える。結果として神の国へ行ける者は誰一人として居ない。
常に謎の位置がスライドして鑑賞者を最後まで混乱させる展開は凄まじい。
かなみ

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